
この記事の要点
- 世界で唯一の架橋コラーゲン製剤「デューサダーム(Deusaderm)」を当院に導入。院長が台湾でTrain the Trainersを受講しました
- 架橋によりコラーゲンが組織内に長く留まり、構造的サポートの持続に加え、ECM環境の改善・コラーゲン産生促進の可能性が研究で示唆されています(基礎研究に基づく一般論・個人差あり)
- 従来のコラージュA(非架橋)に代わるものではなく、「なじみ」と「保持」で使い分ける二つの選択肢に
- 豚由来原料のためアレルギーは事前相談を。内出血・腫れ・しこり等のリスクと個人差があります
私は、伝記のような本が好きです。
どのように生きてきて、この言葉が生まれたのか。
どのような経験を経て、この考え方に至ったのか。
その背景を知ることが好きだからです。
これは、洋服や食器を選ぶときにも少し似ています。
どんなお人柄の方が、どんな想いを込めて作っているのか。
そんな背景を知っているものほど、手に取りたくなるものではないでしょうか。
5月にはご縁をいただき台湾にて、世界で唯一の架橋コラーゲン製剤 「デューサダーム(Deusaderm)」のTrain the Trainersを受講させていただきました。
今回はその学びを振り返りながら、当院への導入についてご紹介します。
コラーゲン製剤の魅力と、デューサダームの特徴
コラーゲン製剤の魅力は、何よりも「表情を邪魔しない自然さ」にあります。
その中でもデューサダームは、コラーゲンを架橋していることで、構造的なサポート効果が持続しやすいことが特徴です。
「長く続く」というのは、単に見た目の変化が持続するという意味だけではありません。
ECM機能回復という視点
肌の土台となる細胞外マトリクス(ECM:Extracellular Matrix)は、加齢とともにその機能が低下していきます[1,2]。
研究では、ECM環境を整えることで細胞機能が改善することが示されており[2]、コラーゲン製剤はそのECM環境を改善する選択肢のひとつと考えられています。
もし、そのコラーゲンがより長く組織内に留まることができたら?
架橋によって組織内での滞留時間が長くなることで、細胞機能が改善し、コラーゲン産生能力そのものが高まることが期待されます[3]。
さらに、体内で緩やかに加水分解されたコラーゲン(ペプチドやアミノ酸)が線維芽細胞を刺激し、コラーゲン産生をさらに促進すると考えられています[4,5]。
加えて、これらのペプチドやアミノ酸には、チロシナーゼ活性を抑制し、メラニン産生を抑えることで色素沈着の改善につながる可能性も研究では示唆されています[6]。
Not only replacement, but improve skin quality.
単なる「補填」ではなく、「肌質そのものの改善」を目指せる可能性がある、という視点です。
※上記のメカニズムは、コラーゲンおよびその分解産物に関する研究知見に基づく一般的な作用機序の説明であり、デューサダームという製剤で臨床的に実証された効果を保証するものではありません。色素沈着や肌質への効果には個人差があります。
企業の背景を学ぶということ
台湾では実際の注入手技のご指導に加えて、開発元であるSUNMAX社の企業の歴史や製剤開発の背景についても学ばせていただきました。
カニューレの動かし方やアセスメントなど、コラーゲン注入に限らず日々の注入治療にすぐ活かせる多くのTipsも共有していただき、大変貴重な時間となりました。
冒頭でお伝えした「伝記」の話に戻ります。
私は、企業の背景や、どのような過程で製剤が作られているのかを知ることはとても大切なことだと思っています。
今回その背景まで学ばせていただけたことは、何より貴重な経験でした。
ご一緒させていただいた先生方との意見交換も大変有意義で、どの瞬間も学びの多い時間となりました。
コラージュAとの使い分け
当院では、これまで非架橋コラーゲン製剤「コラージュA」をご案内してきました。
デューサダームの導入は、コラージュAに代わるものではなく、選択肢を広げるものです。
どちらが優れているという関係ではなく、得意分野が異なる二つの製剤として位置づけています。
| コラージュA(非架橋) | デューサダーム(架橋) | |
|---|---|---|
| 得意なこと | 馴染みやすさ、表層の凹凸、質感の調整 | かたちの保持、ボリューム感の付与 |
| 向いている部位 | 目の下、口まわりなど繊細な部位 | 頬、こめかみなど支持力が必要な部位、目の下の大きな凹み |
| 持続の目安 | 比較的短め(3〜6ヶ月) | 比較的長め(個人差あり)6〜11ヶ月 |
頬には土台としてデューサダームで構造的な支えを、残った浅い目の下のしわにはコラージュAでケア、というように組み合わせることもできます。
安全性・ご留意いただきたいこと
- 動物由来(豚)の原料を含むため、アレルギーが心配な方は事前にご相談ください
- 注入部位に内出血、腫れ、赤み、しこりなどが生じることがあります
- 効果の感じ方・持続期間には個人差があります
おわりに
コラーゲン製剤は、「なじみ」と「保持」という、時に相反する二つの性質のバランスの上に成り立っています。
当院では、その両方を選択肢としてご用意することで、お一人おひとりの肌状態やご希望により丁寧に対応できると考えています。
架橋コラーゲン製剤「デューサダーム」、カウンセリングにてご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
Q. デューサダーム(Deusaderm)とはどんな製剤ですか?
A. 台湾SUNMAX社が開発した、コラーゲンを架橋した注入用コラーゲン製剤です。架橋によりコラーゲンが組織内に留まりやすく、構造的なサポート効果が持続しやすいことが特徴です。当院では非架橋製剤コラージュAと並ぶ選択肢としてご案内しています。
Q. デューサダームとコラージュAはどう違いますか?
A. コラージュA(非架橋)は馴染みやすく、目の下や口まわりなど繊細な部位の表層の凹凸・質感調整が得意で、持続の目安は比較的短め(3〜6ヶ月)です。デューサダーム(架橋)はかたちの保持・ボリューム感の付与が得意で、頬やこめかみなど支持力が必要な部位や目の下の大きな凹みに向き、持続の目安は比較的長め(個人差あり・6〜11ヶ月)です。組み合わせて使うこともできます。
Q. コラーゲン製剤で「肌質そのものの改善」が期待できるというのは本当ですか?
A. 研究では、ECM環境を整えることで細胞機能が改善すること、コラーゲンの分解産物が線維芽細胞を刺激してコラーゲン産生を促すこと、チロシナーゼ活性を抑制する可能性が示唆されています。ただしこれらは培養細胞や動物モデルの基礎研究に基づく一般的な作用機序の説明であり、デューサダームという製剤で臨床的に実証された効果を保証するものではありません。効果には個人差があります(下記「Limitations」参照)。
Q. デューサダームの安全性やリスクは?
A. 動物由来(豚)の原料を含むため、アレルギーが心配な方は事前にご相談ください。注入部位に内出血、腫れ、赤み、しこりなどが生じることがあります。効果の感じ方・持続期間には個人差があります。リスク・副作用・費用については診察時に詳しくご説明します。
参考文献
- Chen X, et al. Recent advances in dermal fibroblast senescence and skin aging: unraveling mechanisms and pioneering therapeutic strategies. PMID: 40606604
- Adav SS, et al. Alterations in extracellular matrix composition during aging and photoaging of the skin. PMID: 33543036
- Sun M, et al. Synergistic self-assembly and crosslinking yield a durable, bioactive, and injectable recombinant collagen implant for photoaging therapy. Regen Biomater. 2026. doi: 10.1093/rb/rbag026
- de Miranda RB, et al. Effects of collagen-derived bioactive peptides and natural antioxidant compounds on proliferation and matrix protein synthesis by cultured normal human dermal fibroblasts. PMID: 29992983
- Collagen peptides affect collagen synthesis and the expression of collagen, elastin, and versican genes in cultured human dermal fibroblasts. PMC11094247
- The Inhibitory Effect of Peptide Hydrolysate of Type I Collagen Derived from Pig Skin on Melanogenesis in B16F10 Melanoma Cells. PMC11852596
Limitations(本記事の科学的根拠に関する限界)
本記事で引用した文献には、以下の限界があります。
1. 対象がin vitro/動物モデルにとどまる点
文献1・2・4・5・6はいずれも培養細胞(線維芽細胞、B16F10メラノーマ細胞など)または動物モデルを用いた基礎研究であり、ヒトにおける注入後の臨床効果を直接検証したものではありません。細胞レベルでの反応が、実際の皮膚組織内・ヒト生体内で同様に再現されるとは限りません。
2. 架橋方式・原料の相違
文献3はリコンビナントコラーゲンにBDDE架橋を施した基礎研究であり、デューサダームで用いられる架橋方式(動物由来コラーゲンへのグルタルアルデヒド架橋)とは原料・架橋剤が異なります。「架橋度が高いほど酵素分解耐性が向上する」という一般原理を支持する参考情報として記しました。
3. コラーゲンペプチドの由来の相違
文献6は豚皮膚由来I型コラーゲンペプチドを対象としており、原料の点でデューサダームとの親和性は比較的高いものの、想定されている応用経路(経皮・経口)と、注入後に生体内で緩徐に生じる分解産物の挙動が同一かどうかは検証されていません。文献4・5で用いられたコラーゲンペプチドの由来種・分子量分布についても、デューサダームの分解産物と厳密に一致するとは限りません。
4. デューサダーム自体の臨床エビデンスではない点
上記いずれの文献も、デューサダームという製剤そのものを用いた臨床試験ではありません。本記事における「ECM機能改善」「コラーゲン産生促進」「色素沈着改善」といった記述は、コラーゲンおよびその分解産物に関する一般的な作用機序の学術的知見に基づく理論的な説明であり、デューサダーム使用による臨床効果を保証するものではありません。
5. 効果の個人差
上記の限界に加え、実際の持続期間・見た目の変化・色素沈着への効果には、年齢、皮膚状態、注入部位、術者の手技など多くの要因による個人差が存在します。
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📝 この記事は、アートラウンジクリニックのアメブロ でもお読みいただけます。
■ 執筆者・監修者プロフィール
中野 陽子(アートラウンジクリニック院長 / 麻酔科専門医・麻酔科指導医)
【略歴・学術実績】
・2007年: 獨協医科大学医学部 卒業。在学中、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)へ留学。
・2009年〜: 沖縄県立北部病院、岩手医科大学などで麻酔科学を深く研鑽。
・2016年: 日本麻酔科学会誌『麻酔』にて、小児の高度な気道管理に関する論文を筆頭著者として発表。
・2022年: 大手美容クリニックを経て、アートラウンジクリニック院長に就任。
・2025年〜: 現在も大学病院 麻酔科非常勤医師を兼務。
最前線の麻酔科医としての豊富な臨床・学術経験(小児麻酔などの高度な気道・安全管理含む)を活かし、美しさと安全性を高いレベルで両立する美容医療を提供しています。